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ピロシキは今日も揚げられたのか?

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タイトル未定さんについて

大絶賛連載中のクノベ「タイトル未定さん」は専用のブログに移してます。

http://ameblo.jp/pirozhkidesu/
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タイトル未定さん(3)

 「夢…夢?夢かぁ…えっと、なんの話しだっけ?」
ニパッとした顔で言う。唱唱は気楽なお笑い番組に出ている芸人よろしく、ズルッとソファの背もたれから体を落とす。思わずゲーム機が手から離れ腹の上へと落下する。
「そうですか…」
期待を裏切る答えに苦い顔をする。
「でもー夢って不思議だねっ。楽しい夢見たあとは、もう一回あの夢見たいー!ってなるのになかなか眠れないの。」
最後の一口を飲み込んで麻麻は言う。
「俺の夢はいつも誰かさんの時計の音で終わっちゃうけどな。」
皮肉を込めて言ったつもりが、彼女にそれを気にしている様子はなかった。
「二人分起こせるなんて便利な時計だね。」
のんきな答えにはあ、とため息をつく。
「俺が止めるまで鳴り止まないからな。」
ソファから立ちコーヒーを入れんとキッチンに向かう。
「現実とは何かって聞かれたら、俺は目覚ましの音だって答えるよ。」
そう言いながらインスタントコーヒーの瓶を開ける。
「たまにはゆっくり起きてみたいもんだよ。」
お湯を注ぐと部屋中にコーヒーの香りが広がった。リビングで着替えていた麻麻もその匂いに釣られたのかダイニングの入口から顔を出してきた。おそらく服を着ていないのであろう、肩が少し見えている。
「お兄ちゃん私の分もお願いね。」とだけ言うと再びリビングへ着替えに戻った。

唱唱ははいはい、と棚からきれいに洗ってあるカップを取り出した。
「少しぐらい話を聞いてくれよ…」
4へ
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タイトル未定さん(2)

 麻麻は目玉焼きには醤油派である。半熟の黄身をほぐしてそこに醤油を混ぜマーガリンを塗ったパンに乗せて食べる。先に玉子だけ無くなるのはご愛敬。それが彼女の密かなこだわりであった。
この日の朝食───とはいえすでに正午であるが───はあいにくパンではなく今朝炊けたササニシキと、昨晩の余りである野菜炒めだった。
「昨日の夜はソースさんだったから今日はマヨネーズさんですっ。」
誰に言うわけでもなく彼女はルンと冷蔵庫へ向かう。
「やっぱり目覚ましがあると便利ね、お兄ちゃん。」
ソファでくつろぐ唱唱のいるリビングに向かい声を掛ける。
「止めたのは俺だけどな。」
唱唱は手にした携帯型ゲーム機から目を離すことなく返す。
「でもやっぱり休みの日は予定があるってわかっててもいっぱい寝過ぎちゃうね。」
口いっぱいに含んだ野菜も飲み込まぬうちにもごもごと話す。
「今日も、だろ?」
相変わらず彼は麻麻には一瞥もくれずに答える。えへへ、と笑う彼女から反省の色は全く感じられない。
「そういえば朝言ってた変な夢って、何だったんだ?」
彼のゲーム画面がロード中であることを示している時に、ふと今朝のやり取りを思い出し尋ねる。
「おー、夢!」
麻麻が見せた今朝とは違う反応に唱唱は初めて彼女のいるダイニングの方に顔を向けた。

3へ
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タイトル未定さん(1)

 目が覚めた。

───暗い。暗い。暗い。

体を飲み込むほどの闇と、その中で何故か唯一はっきりと確認できる右腕。それを認識してすぐに再び意識が切れた。

 目覚まし時計のベルが鳴り響き、六畳の部屋の空間を揺らす。窓を少しばかり開けたままにしているので、ほんのり冷たい風が一斤染のカーテンを優しく撫でている。部屋の角に置いてあるベッドの上で、荻野麻麻(おぎのまお)はカーテンと合わせた色の布団に山を作っていた。
ベルの音は彼女の耳にも聞こえている。だが、ベルのけたたましい音が空気を振動させ、それが彼女の耳に届き鼓膜を揺らしているのみである───つまりこの場合聞こえていなかったと言うべきである。
朝起きることが苦手だから特別大きい音が鳴る物をと、彼女の兄が買ってきたそれは使命を果たすことができず持ち主を呼び続けている。
「いつまで寝てんだよ!」
ドアを開けながら───正確にはドアを開ける前にはすでに叫んでいたが───麻麻の兄、荻野唱唱(おぎのしょうた)が顔を出した。ひやっとした風が眼に染みる。家中に響いていたベルの音だが、部屋の中は段違いであった。
「よくもまあこんなにぐっすりと寝れたもんだ…」
呆れ半分、関心半分といった様子で彼はいつも通り買って与えた目覚ましのベルを自分の手で止める。
「こいつを起こすために買ってやったのに俺が起こされるハメになるとは…」
なるべく言わないようにしつつも、時計を買ったあの日から毎日こうして自分でベルを止めに行くことを繰り返し、つい言葉を漏らしてしまった。
「あ、お兄ちゃん。おはよう…」
振り返ると麻麻が布団を被ったままこちらを見ていた。
「おそよう、麻麻。今日は昼から出かけるとか言ってただろ?いいのか、寝てて。」
起きてくる様子の無い彼女に対しても、もはや見慣れたといったように言う。
「えへへ、次目が覚めたらぁ。」
首の中ほどまでにある髪を逆立てたまま、彼女は再び眠りにつかんと瞳を閉じかけている。
「全く、今日も言うがまたバタバタしても知らないぞ。」
唱唱が呆れて言う。
「あっ、お兄ちゃん。そういえばねえ、今日変な夢見たの。」
もっと大きい音が鳴る奴が必要か…とつぶやきながら時計を見ていた唱唱がはっとして振り返る。
「へえ、どんな夢?」
珍しく一瞬で二度寝へと落ちなかった彼女に尋ねる。
「えっとね、えっとね…あれ、覚えてないや。」
てへっと笑う彼女の反応にガクッと体を落とす。
「寝ぼけてるのか…」
どちらにしてもいつも通りか、と時計を机に置き入ってきた扉へと戻ろうとする。
「でもねー、なんか変だったのは覚えてるの。なんか、こう…もやもや~っとして!、ぐにゃぐにゃ~って!」
言葉にするには難しいものをなんとか表現しようとしたのであろうが、その説明では何も理解するに至らなかった。まだ寝ぼけているのだろうと、唱唱は軽く流し部屋を出て階段を降りて行った。
「う~…十時になったら起きるの。十時になったら…」
そう呟きながら布団を鼻まで被り彼女は再び眼を閉じた。

時計の針は現在午前十一時を指していた。
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